人生よかったカルタ

2020.08.27

お盆休み前に、アマゾンで「人生よかったカルタ」の大人版を買いました。この「人生よかったカルタ」を知ったのは、帝国データバンク発行の週刊帝国ニュース北陸版に時々掲載されるビジネスコンサルタント・作家の和田裕美さんのブログ「陽転思考」でした。7月31日号に掲載された「昆虫レストラン体験と『コロナ変化』」の後半に、「毎日新聞夕刊の1面トップに『人生よかったカルタ』(陽転思考を身につけるカルタ)が紹介され、こんな世の中でも、行動すれば、明るい結果が出せると実感できました」と書かれていて、欄外に、このカルタが筆者のホームページかアマゾンで購入できるとあったのです。

  何事にも興味津々の私です。早速アマゾンで「人生よかったカルタ」を検索したところ、子供版、大人版、おじさん版と3つありました。そこで大人版を開いてみると、「あ」の読み札に「挨拶したのに無視されてよかった」とあり、絵札は、雪だるまに猫が「寒いですにゃ」と声をかけるのに、雪だるまはそっぽを向いている絵がでてきました。これをどのように使って陽転思考を身につけるのだろうか、先ずは買ってみようと、即、購入手続きしました。2,680円でした。


  2、3日後に届いたカルタに同封のパンフレットには、先ず「『陽転思考?そんなのただのプラス思考でしょ?』・・・と思う人が多いかもしれません。(中略)和田式陽転思考は、あえてネガティブなものを見つめ、それを受け入れ、そこから何か“よい側面”を探す思考法。私たちの人生には、良いことばかりではなく傷ついたり悲しんだり悔しいこともたくさんやってきます。そのネガティブな事柄に飲み込まれてしまうと心が折れてしまうのです。だからこそ、そこからどんな小さいことでもいいので『よかった』と言えることを自分で探して起き上がるのです。ネガティブなことを人生のバネにしてさらに飛躍できるようになる、転んでもただでは起きない強い心を作ります。臭いものに蓋をするのではなくその状況から生きる道を探すということです。」と書かれていて、人生が好転した例として、


・自分の良いところが探せるようになり自己肯定感が上がります。
・人の良いところが探せるようになり人間関係が良くなります。
(中略)
・積極的に行動できるようになり、仕事での評価が上がります。
・たくさんの良いことを探せるじぶんになります。


とあり、「いちど使った『よかったアンサー』は2回目以降はちがうものに変えてください。そうすることによって脳はどんどん自分の内側から良い側面を探そうとし続けます。正解はありません。そして誰かの指示でもありません。すべて自分の中から生まれた言葉でつくるのです。」とあり、パンフレットの裏面には大人版感想として、


・ネガティブで、自己否定だらけの私が、人前で意見が言えて人から評価されるように!(中略)仕事の評価が上がり給料も上がり人生が劇的に変わりました!(H.K様)
・人から好かれるようになりました!(中略)長年の悩みが消えました!すごいカルタです。本当にありがとうございました!(Y.A様)
・最少はよくわからなかったけど・・・1回目やった時はこんなもんかという感想でした(すみません)。けれども人に誘われて2回目、3回目やってみたらある日、「この出来事の良い部分はなんだろう?」と自然に探している自分に気付いてびっくりしました!いつの間にか陽転思考が身についていたのです。(後略)


 遊び方はこうです。読み札カードはすべてネガティブな内容です。「よかった!」と言ってカードをとります。読み手と取れなかった人から「なんで?」と聞かれたら、なぜよかったのかを自分で考えて答えます。
 さらに、「大人カルタ 回答例」という紙に、50枚のカルタそれぞれの回答例が3つずつ書かれていました。読んでしまっては実際にやるときに邪魔になると思いつつ、 “り”「離婚したいと言われてよかった」に、目がとまりました。回答例は、


(1)幸せな時間があったことに感謝できて、よかった 
(2)別れはその人との学びの終わり。それぞれが何かを得て次に進めてよかった 
(3)相手の想いと自分のいたらなかったところに気づき、大きな経験を積むことができ
てよかった です。


 以上、皆さんに「人生よかったカルタ」の使い方と効果を知ってもらいたいと思い、長々と紹介しましたが、さしあたりこのカルタを一緒にする人が思い浮かばないので、この考え方を会社で不満に思ったり、過去の出来事でくやんだりしたことに当てはめてみました。


 例えば、今年度の経営戦略のトップ「人財の採用と育成」での育成戦略の一つに、「ミスを隠さず、ISOの不適合として報告できる社員」をあげたのは、たまに報告される不適合は氷山の一角で、経営トップが知らないところで発生しても不適合として報告されない事案が多くありそうなことに不満と危惧を覚えていたからです。このことを「人生よかったカルタ」流に考えると、“ふ”「不適合がタイムリーに報告されていなくてよかった!それは、新年度の経営戦略に落とし込めたから」、進化して「不適合がタイムリーに報告されていなくてよかった!それは、致命的なミスが発生する前に戦略を打ち出せたから」となると思うのです。また、30年間愛用していた少々値が張った薄型の腕時計を紛失し、「どこに行ったのだろうな?」と時々思い出して暗い気持ちになっていました。最近使っていなかったショルダーバッグのポケットの底から見つかったのですが、これも「見つかってよかった」で済まさず、“う”「腕時計を無くしてよかった!それは、見つかった時の感激を味わえた」となり、進化して「大事なものは、一定の置き場所以外には置かないでおこうと決めることができた」となりました。
 

では、先月のコラムで紹介した中村天風師だったらどう考えるのだろうかと思い「天風成功金言・至言100選」をチェックしたら、ありました。「人生は、心ひとつの置きどころ。人間の心で行う思い方、考え方が人生の一切を良くも、悪くもする」、「一日の人生に生きるときに、お互いに勇気づける言葉、喜びをわかちあう言葉、聞いても何となく嬉しい言葉を言い合おう」、「自分の心の中に少しでも消極的なものを感じたならば、断然それを追い出してしまわなければならない」、「自分の使っている言葉によって、自分の気持ちが非常に鼓舞奨励されたり、あるいはスポイルされたりする」、「『暑いなあ~、やりきれないな』でなく『暑いなあ~、よけい元気がでるな』と言いなさい」、「生きがいのある人生に生きようと欲するならば、何よりも一番戒めなければならないのは心配や悲観である」などです。改めて「深い‼」と思いました。「人生よかったカルタ」を使って自分の心を鍛錬しようとするのではなく、日常生活のすべての場面で、積極性を心の中で意識し消極的な気持ちは排除する、そして、積極的な言葉を声に出すようにすれば、成功が実現できるということです。


 「人生よかったカルタ」は、どうも出番が無くなりそうです。