私は、土日はほとんどほとり座で映画を観ています。平日も退社後、ほとり座に出かけることがあります。
先日、高校の同期生で作っている「仮称木曜会」の担当者から、私に9月例会で映画の話をしてほしいと依頼されました。私がしょっちゅう映画館に出かけていることを知っていたようです。そこで2022年から今月までの映画の鑑賞回数を手帳の記録を見ながら数えてみました。
2022年1月は1本、2月は3本、3月が11本、4月が5本、5月が10本、6月が8本、7月が6本、8月が6本、9月が12本(「こちらあみ子」を2回)、10月が9本、11月が6本、そして12月が11本で、年間88本観ました。この内、ほとり座で85本観ていました。
2023年は、1月が5本、2月が11本、3月が15本、4月が11本、5月が6本、6月が4本、7月が14本、8月が5本、9月が7本、10月が3本、11月が10本、12月が7本で、年間98本でした。この内、ほとり座で95本観ていました。
そして今年は、1月が18本、2月が12本、3月が17本、4月が6本、5月が9本、6月も9本、7月も9本、8月がこの後の予定も入れて10本ですから、これまでに90本になります。ほとり座以外でも、私が協賛した富山市出身の女性監督伊林侑香さんの「祝日」も観ています。来月は8本予定しているので、こうして数えてみると、今年ほとり座で映画を観る回数は2022年の85本を上回り、去年の95本も9月には追い越します。
しかし、量より質。中には結末で主人公が殺され嫌な気分になったり、帰りのエレベーターの中で、乗り合わせた人と「よく分からない映画でしたね」と話したりした映画もありました。しかし、どうしてももう一度観たいと思って1週間の間に2回観た「こちらあみ子」、今年2月に観た、孤独を抱えながら生きる男女が、かけがえのないパートナーを見つけようとする姿を描いたフィンランドのラブストーリー「枯れ葉」、そして先日観た「東京カウボーイ」や、笑福亭鶴瓶も出ていた「あまろっく」、外国映画では、オードリーヘップバーンの「ローマの休日」や、ソフィア・ローレンとマルチェロ・マストロヤンニの「ひまわり」など、観てよかったと思った作品が圧倒的に多いです。
これまで「趣味は何ですか?」と聞かれたら「読書です」と答えていましたが、この頃は読書時間がずいぶん減り、私の趣味は明らかに映画鑑賞に変わっています。今年は、100本を超えるのは確実でしょう。
皆さんにほとり座の無料招待券を1枚ずつ配りましたが、それを利用して親子で観に来ていた社員、カップルで観に来ていた社員に会いました。毎月「ほとり座マンスリーガイド」を各部署に配布していますので、それで映画の概要や上映日を確認し、ほとり座に出かけてみてください。そして、日常を離れた世界を味わってみてください。
ほとり座は、地場もん屋が1階にある総曲輪ウイズビルの4階にあります。駐車場は、向かいの西別院の駐車場が便利です。
今月18日の朝日新聞1面コラム「天声人語」は、沖縄の守礼門が描かれた2千円札の話で、このお札が発行されたのは、2000年の明日の日付の7月19日だとありました。スマホで検索したら、きりのいい西暦2000年の到来に世の中が沸き、1000年に一度訪れるミレニアム(千年紀)が流行になった頃のことで、第26回主要国首脳会議(沖縄サミット)を記念して発行が決まったとのことでした。
この筆者が数年前に、現地の宴席で幹事役をしたときに「財布にあるなら出して」と呼び掛けたところ、出るわ出るわで、県内の流通量は右肩上がりだということだったそうです。本土では事情が一変し、先日訪れた東京・王子の「お札と切手の博物館」では、陳列された2千円札を前に、来館者が「まだ使えるんだよね?」と確かめ合っていたそうです。
私の財布にも、このお札が入っていることはありません。先日開催された高校時代の仲間の飲み会で、会費が8,000円だったので1万円出したところ、お釣りにこのお札をもらい、何年ぶりに見ただろうかと思いました。でもこのお札は、代行タクシー料金としてその日のうちに財布から消えました。
「天声人語」の後半「近所のスーパーに少し前、無人レジが導入された。ずらりと並ぶ端末の中で、現金を受け付けるほうが少数派なのには驚かされた。財布はほとんど持ち歩かない、という若い同僚も珍しくない。どうやら、自分のような現金派は、時代遅れになりつつあるらしい。」を読み、この筆者と同じく自分も全くの現金派だと思いました。コラムの最後は、「キャッシュレス化がもっと広がれば、いつかあの世に行く時、三途の川のほとりで渡し賃をとる番人からも言われることだろう。『お支払いはPayPayですか、現金ですか。』やれやれ。」に、笑ってしまいました。
コラムの最後は「時代は変わる。先端を行く人、遅れまいと焦る人。最後尾をのんびりゆきながら、やっと手にした新しいお札を眺める。」でした。
私は常に財布を持ち歩いています。Pay Payには決済手数料がかかると聞いていたので調べると、2021年以降は税別で1.6%もしくは1.98%であり、この数字はわずかだと書かれていました。私は、「わずか」という感覚が気に入りません。Pay Payで払われた店は、わずかであってもPay Pay銀行に手数料を払わなければいけません。Pay Payが使えることで客が増える店もありますが、設置費用や維持費がかさんでやめた店もあるようです。
私が世の中の最後尾であっても現金派であるもう一つの理由は、私が革製品が好きだということです。革のかばんはボストンバックからショルダーバッグまで数個持っていますが、革の財布は10数個持っています。常に持ち歩く財布は、手のひらに収まる非常に機能的な二つ折りの財布です。数年前に買い貫禄が出てきていますが、とあるラーメン屋で支払をした際に、レジの男性が私の財布を見て、「自分も欲しいのだが、今は売っていない。オークションで5万円で出ていたが手が出なかった」と話してくれました。私が買った時は、2万円くらいだったでしょうか。現金派の私には、無くてはならない相棒です。
皆さんは、現金派ですか、Pay Pay派ですか?
朝日新聞の1面の下段に載っていた童話「オレ、カエルやめるや」の広告を見て、緑色のカエルの絵がかわいらしく本の題も愉快なので、孫に買ってやろうと思い、早速文苑堂豊田店に電話しました。あいにく豊田店には在庫がなく、他の店の在庫を調べてみるということで、その日のうちに私の携帯電話に、他店にあったので豊田店に持ってきて、1階のカウンターで取り置いておくと言われました。そこで15日の土曜日に豊田店に出かけました。この絵本の内容は、出版社によれば「カエルはカエルがイヤなのです。だってぬれてるし、ヌルヌルしてるし、ムシばっかり食べるし……」。しかし、孫は二人なのでもう一冊買おうと思い、2階の子供向けの書籍コーナーに向かいました。売り場について目に飛び込んできたのが、染色家の柚木沙弥郎さんの絵の「魔法のことば」でした。柚木沙弥郎さんは、1922年生まれで、100歳を超えても染色を続け2024年に101歳で永眠された方です。この絵本の出版社からの内容紹介は、「エスキモーの人々に伝わる一篇の詩をもとに生まれた、美しく、楽しく、そしてなんとも不思議な絵本。人と動物の区別がなかった大昔、みんなが同じことばをしゃべっていました。そのとき、ことばは、「魔法のことば」だったのです。ことばは、かつて霊的な魔力をもっていて、ことばを口に出して言うだけで、何かがおこりました。そんな、おおらかな生命力に満ちた世界が、シンプルで力強い絵と言葉で鮮やかに描かれています」。柚木さんの作品は、我が家には暖簾が、会社には丑年に買った牛を描いた染め絵が第2応接室に掛けてあります。
そして自分用に買った一冊が、2024年度本屋大賞受賞作品「成瀬は天下を取りにいく」でした。新聞記事でこの本の名前を見たのが記憶に残っていて、たくさん平積みされていたこの本を見つけて購入しました。
さて、今回のコラムの題「本屋のない人生なんて」は、日経新聞の6月16日のコラム「春秋」に載っていた、三宅玲子さんのノンフィクションの題名で、検索すると「出版不況と言われて久しいものの、「本」という形態のメディアは決して不要となったわけではない。しかし、ネット書店で本を取り寄せる習慣は私たちの生活に定着し、本を「買う」場所は激変した。商店街のちいさな書店はもはや当たり前の風景ではなくなっている。しかし、それでも新しい「本屋」を開く店主たちがいる。いま、なぜ本屋なのか――。
北海道から九州まで。全国の気骨ある書店を訪ね歩いたノンフィクション」とあります。
私は、本を買うのは、義兄が会長を務める文苑堂に決めています。文苑堂は「商店街のちいさな書店」ではありませんが、出かけることで、今回も目的の本以外に2冊の本に出会いました。
私がお気に入りの、富山新聞のコラム「きょうの言葉」に、ノーベル生理学・医学賞を受賞した生物学者の利根川進先生が言われた「感じる力を内に持っていることは必要です」が紹介されていて、筆者は「勉強や趣味、仕事の分野で、自分の視野を広げてくれるような知識と感性を供えた友人や先輩との出会いは、人生を大きく変えてくれる。だが、そうした人物と出会うチャンスはめったにないし、利根川のいう通り、相手が優れた人物かどうかを見抜くのは、さらに難しい。では、そういう場合はどうすればいいのか。私個人の経験では、本を読むのがいちばんだ」
「きょうの言葉」には、「ノンちゃん雲に乗る」などの作品で知られる石井桃子さんの「自分の波長を、ほかの人のなかに見いだすことが、人生の幸福の一つ」も紹介されていて、「人生をゆっくり歩けば、ひとりや二人は、きっとこんなわかりあえる友達や作家にぶつかる」と言う。ただし、「波長が合うかどうかは、対象が本でも人間でも、じっくりと向き合わなければ分からない」と書かれていました。
私は、枕元に置いた本を、寝る前に30分ほど読むのが習慣ですが、読み始めたらすぐに波長が合いそうだと思った「成瀬は天下を取りにいく」が、私の、相手が優れた人物かどうかを見抜く力をつけることになれば、税込み1,705円は安いものです。