私のスマホのメモ欄に、「聞きなれない言葉、面白いい言い回し、漢字が思い出せない言葉、言葉のルーツ」というカテゴリーがあります。これは、今年1月のこのコラムで「趣味は読書」と題して、「読書については、昨年10月のコラム『読書の秋』と11月のコラム『井上ひさし』で書きました。」と書いていますが、今読んでいる井上ひさしの「自家製 文章読本」に、たくさんの聞きなれない言葉や漢字、思い出せない言葉が出てくるのです。
このカテゴリーに書き留めた順に、以下に記します。皆さんはどれだけの言葉が読め、また意味を知っていますか?
梗概、磊落、禍々しい、万里一空、阿諛、畏まる、法匪、有漏路、突忽、顰める、宿痾、
固唾を飲む、勝ち馬に乗る、惹句、因みに、篝火、毟る・挘る、無聊、見巧者、貴種流離譚、 墨守、貶める、伝法、花鳥諷詠、三奸四愚、漱ぐ・嗽ぐ、泆、河骨、砂糖黍、喃語、宿痾、無謬、恩寵
33ありましたが、スマホのカテゴリーに書いてある漢字をこのコラムに書き写すのに、結構苦労しました。漢字変換しても出てこないのが、「挘る」と「嗽ぐ」でした。
聞いて意味が分かっても書けない漢字、そもそも読み方が分からない漢字、読めても意味が分からない漢字といろいろです。スマホには意味も記入していますが、覚えられません。今回スマホに記入していた意味も読み「そうか、こんな意味だったのだな」と思い返しながら33の漢字を書きましたが、ここまで書き進んだ段階で、もう読めなくなった漢字や、意味を忘れた漢字があります。78歳という年のせいでしょうか、いやいや、それほど難しい漢字だったということにしておきましょう。
ここまで書いて、コラムの予定字数の半分ほど。「自家製 文章読本」は292ページで、今は132ページを読んでいるところです。これから、斜め読みしながら難解な漢字だけ拾っていきましょう。ありました、ありました。
隔靴掻痒、重石、彷徨歩く、直接に(じかに。ふつうに変換するとは「直に」ですが、この方が意味が強いですね)、手繰り寄せる、綺麗に、干瓢、完璧、呆れる、一目瞭然、驥尾、痴話喧嘩、馴染んだ、眉唾もの、反駁、罪滅し、鹿爪らしい、曖昧、示唆、語彙、塩梅、按配、把握、混沌、語彙、引き剝がす、破天荒、和臭、漢臭、痛罵、喧嘩、駢儷体、洒落た惹句、訝しむ、嵌め込まれて、暖気(のんき。一般的には呑気か暢気)、匕首、滑稽、面妖、索漠、鯱鉾張って、氾濫、醜悪、大袈裟、揉めごと、西洋(あちら)も五分法、東洋(こちら)も五段法、曖昧、喪い、賄賂、矜持、生真面目、読み巧者(ごうしゃ)、閻魔、大雑把、代物、緻密、混沌未分、宇宙船に乗って故郷(ホーム)への帰途につく、餅搗き(もちつき)、睨み返し、煩瑣、咎める、生命(いのち)、剃刀、基本的枠組(パラダイム)、腑分け、煙草、目論む、面喰らう、噺し家、糊、語彙
今月のコラムは「自家製 文章読本」から漢字を拾っただけの、実に省エネルギーのコラムですが、私にとっては「自家製 文章読本」を読了し、古志の文学館での井上ひさし展で買い求めた未読の20冊近くの文庫本を読もうという意欲が湧きました。晩酌をほどほどにして、寝る前に数ページ読もうと思います。
5月16日に富山県立大学で行われた朝日建設奨学金受給者決定通知書交付式に、DX推進室長と一緒に出席しました。昨年当社から富山県立大学に500万円の奨学金を寄付しましたが、これは環境・社会基盤工学科3年の男女2人の学生に毎月3万円の奨学金を2年間支給するものです。3万円×2人×12か月×2年間=144万円、3年間で432万円ですので、3年間に6人の学生が受給できることになります。500万円-432万円の残り68万円は図書の購入に充ててもらいます。
昨年、県立大学に寄付の申し出をした時に、寄付金の使い道を大学の教務課の男性職員は、車体に「朝日建設奨学金カー」と入れたマイクロバスの購入か図書の購入に充てたいとのことでしたが、私は学生に対する奨学金の支給を提案しました。これは朝日建設に入社してほしいという思いからではなく、富山県にこういうことをする企業があることを知ってもらい、県外出身者でも先ずは富山県で就職してみようと思ってもらいたいという考えからだと話したところ、女性職員は涙ぐんでいました。
交付式では式次第の最初に社長挨拶があり、私は日経新聞の5月3日のコラム「春秋」の切り抜きを読み上げました。4月からNHKテレビの朝の連続ドラマで「あんぱん」を放送している時であり、タイムリーだと思ったからです。
コラムの文章には、やなせたかしさんの言葉が記されています。アンパンマンの最初の絵本のあとがきには「捨身、献身の心なくしては正義は行えません」、「アンパンマンの遺書」には「普通の人は無名である。顔は知られていない」との思いを込めた、とあり、正義を巡る洞察の背景にあったのは自らの戦争体験とあります。コラムの筆者は「そしてこの地上では、普通の人たちが犠牲になる戦禍がなお続いている」と書いています。そして、アメリカとウクライナが鉱物資源の共同開発を柱とする協定に署名したとして、軍事力にものをいわせる大国の綱引きと経済的な権益で事態が変わる。まさにディール。戦争の行方も左右する。これが現代外交のリアリズムなのだろう。そんな世界でも、変わらぬ理想が根底に流れていてほしい。世を動かす利他の行為。「正義のための戦いなんてどこにもない」。やなせさんの言葉をかみしめる。
利他に対する反対語は利己です。利他とは、他人の利益を優先する考え方で、利己とは、自己の利益を優先する考え方です。当社の経営理念「建設事業とその関連事業を通して、世の中の役に立つ。そしてふるさと富山を発展させる」の「世の中の役に立つ」も利他の心です。利益を上げるという利己の心ではありません。ロータリークラブ会員の行動指針である四つのテストの4番目「みんなのためになるかどうか?」も利他の心だと言えます。
部長は、「昨年は応募者は多くはなかったが、社長が大学で講義をされた時に、講師紹介で朝日建設奨学金があることを話したことで、今年の応募者は多くなりました。」とのことでした。
終わって駐車場に向かう時に、受給者の女子大生が私の足元がおぼつかないのを見てか、車のところまで付き添ってくれましたが、奨学金の受給には論文も書かなければいけないと話してくれました。富山県出身の彼女は交付式で、卒業後はふるさと富山の発展のために働きたいと話していましたが、利他の心を持った素敵な受給者が選ばれたとうれしく思いました。
昨日4月20日(日)は、富山市長選挙と富山市議会議員選挙の投票日でした。私は呉羽会館で投票を済ませてから、総曲輪のほとり座に向かいました。観た映画は、2022年に製作されたチリ・フランス合作のドキュメンタリー映画「私の想う国」です。
チリ出身のドキュメンタリー映画監督パトリシオ・グスマンが作ったこの映画は「2019年10月、南米のチリの首都サンティアゴで、地下鉄料金が30ペソ値上がりすることへの反対に端を発する民主化運動が突然動きだした。リーダーもイデオロギーもなく爆発的なうねりとなり、人口約1900万人のうち、若者や女性を中心とする約150万人もの人々が、より尊厳のある生活を求めてデモに参加した。この社会運動はチリの保守的・家父長的な社会構造を大きく揺るがし、やがて2021年に36歳という世界で最も若いガブリエル・ボリッチ大統領誕生に結実する」、「目出し帽に鮮やかな花をつけてデモに参加する母親や、家父長制に異を唱える4人の女性詩人、先住民族マプチェの女性として初めて重要な政治的地位についたエリサ・ロンコンら多くの女性たちへのインタビューを交えながら、劇的に変わりゆく母国チリの姿をダイナミックかつ詩的な映像美で描きだす」、「政党主導のもとに行われてきた旧来の政治運動とここで描かれる運動が決定的に異なるのが、女性や若者たちが中心であること以外に、特定のイデオロギーやカリスマ的なリーダーによって引っ張られたものではなく、自然発生的に自らの生活・人権・尊厳を守りたいという人々が集い、社会構造を揺るがすうねりとなっていったことだろう」というものです。
映画では、デモに参加した人たちが、こぶし大に割った石を警察の車両に投げるシーン、軍用車が水を撒いて市民の後退を促すシーン、火を放たれた警察車両が後戻りするシーン、催涙弾が左目に当たり視力をほとんど失った若い女性が語る言葉、道を埋め尽くした人々がジャンプしたり、フライパンやブリキ缶をリズミカルに壁に打ち付けたりしながらシュプレヒコールする様子、ガブリエル・ボリッチ大統領の就任演説で語った言葉「歴史的転換期を迎えた今を逃してはいけない。立ち上がれ。太陽はチリのために輝いている」など、印象的なシーンにあふれた映画でした。
私はこの映画を観た後本社で、溜めていた日経新聞を読み、再びほとり座で「早乙女カナコ子の場合は」を観てから、午後8時から行われるホテルグランテラス富山での「藤井ひろひさ選挙報告会」に雨の中、出かけました。7時40分ほどに会場に入りましたが、すでにほぼ9割の椅子が埋まっていました。そしてテレビモニターに映し出された8時のニュースで藤井市長の再選がトップニュースで伝えられると、拍手が沸き起こり、その後は来賓の祝辞やウグイス嬢からの花束贈呈、藤井市長の挨拶と続き45分間ほどで終了しました。
さて、翌日は新聞が休刊日だったので、本日の新聞で「富山市長に藤井氏再選」の記事を読みました。見出しの横には「投票率最低42.96%」とあり、本文には「2021年の前回選47.97%、17年47.84%を下回り市町村合併後で最低だった」とありました。19万人超が棄権したとも書かれていました。
私は住民票を18歳の時に大学のある仙台に移し、選挙権を得た20歳の時からすべての選挙に出かけています。今回の選挙では、当社の18歳と19歳の社員に、投票に行くようにとスマホでメールしました。そんな私ですので「投票率最低42.96%」には愕然としました。そして映画「私の想う国」を思いました。独裁政権下でのチリと、ニューヨーク・タイムズ紙の「2025年に行くべき52カ所」に大阪とともに選ばれた富山市とは、経済・政治状況や治安状況が全く違いますが投票率42.96%はないでしょう。7月の参議院選挙では70%ほどの投票率でありたいものです。