ほとり座

2024.02.26

 ほとり座は、1階に食料品店「地場もん屋」が入る総曲輪ウィズビルの4階にある客席数176席の小さな映画館です。今年は1月に17本観ましたが、今月は18日までに8本観て、この後4本観る予定です。昨年は年間83本でしたので、このペースでいけば年間100本は行きそうです。

   

 今年は1月4日の「ショータイム」からスタートしましたが、年初は大映の戦後20年代の映画が4Kリマスター版で多くかけられていて、観たい作品がたくさんありました。しかし、土日にしか観れませんので、観たのは「山椒大夫」、「羅生門」、「座頭市物語」、「近松物語」、「炎上」、「大菩薩峠」、「大菩薩峠(竜)」、「刺青(いれずみ)」、「浮草」、「雨月物語」、「赤線地帯」でした。「刺青」の若尾文子や「雨月物語」の京マチ子がとてもきれいでしたし、洋画では「ローマの休日」のオードリー・ヘップバーンがきれいでした。もちろん女優がきれいというだけでなく、ストーリーもよく出来ていました。

   

 最近の映画では、フランス映画の「パリタクシー」と、NHKテレビの朝の連ドラ「ブギウギ」で主役の鈴子を演じる趣里さんが出演した「ほかげ」が印象に残る映画でした。いずれの映画も、ラストシーンが今も心に残っています。また、今月11日(日)に観た1966年制作のチェコスロバキアのコメディ「ひなぎく」や、17日(土)に観た、宿題がない、テストがない、「先生」がいない、「きのくに子どもの村学園」の様子を描いた「夢みる小学校」と、翌18日(日)に観たスペイン映画「ミツバチと私」もとても良かったです。「ミツバチと私」はパンフレットには「本当の自分を探す子どもの葛藤と、寄り添う家族の物語」、「生まれ変わったら、女の子になれるかな?」とあり、この作品は、第73回ベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞し、主役の男の子ソティア・オテロは、史上最年少の8歳で最優秀主演俳優賞を受賞しているとのことです。

   

 さて観客数ですが、「夢みる小学校」は上映後にオオタヴィン監督のZoomでの出演と質疑応答もあって、8割くらいは座席が埋まっていましたが、他の作品は土日でありながら10数名といったところでした。ウイークデーだったらどれくらいなのでしょうか。

   

 昨年の12月のコラムでは、「12月9日の土曜日、ほとり座で10時からの『親のお金は誰のもの』のチケットを買ったとき、『林さん、今日は独占ですよ』と言われました。本当に観客は私一人でした。こんなに面白い映画は宣伝すべきだと、帰宅してすぐにfacebookに6億円の真珠をめぐるこの映画のあらすじを書き、ぜひ観るようにとPRしました。「良い作品を上映するほとり座が、採算不振で廃業するようになっては、富山市の文化度が下がるというものです。この視点からも、映画館に出かけましょう。」と書きましたが、2月初めに、ほとり座を運営する会社の副社長と社員が来社し、現在も採算は改善せず赤字が累積しているので、昨年1年間にほとり座に最も数多く足を運び、かつ会社の経営者である私に資金援助の依頼をされました。ひと月に50万円の支援金が目標ということでしたので、私は個人として真ん中の口数で支援をすることにし、1年間分まとめて振り込みましたところ、昨日12日に、副社長が無料の映画観賞券を300枚持ってこられました。そこで私が100枚、そして社員全員に1枚ずつと、2月28日に奨学金を寄附する富山県立大学の工学部環境・社会基盤工学科に100枚渡すことにいたします。

   

 多くの方に、富山市の文化と言えるほとり座に出かけてほしいと思います。