天体観測会

2023.08.25

 8月12日(土)の午後9時から13日(日)の午前3時ころまで、八尾町桐谷にある当社の保養所アサヒ・ツイン・ドームズで天体観測会が行われました。社員の皆さんでこの保養所に出かけたことのある方は少ないのではないかと思いますので、天体観測会の様子を書く前に、この保養所の建設の経緯を記します。

   

 当社は1940年(昭和15年)10月に、初代社長林銀蔵(私の母方の祖父)が高岡市において土木・建築請負業巴組を創業しました。戦後の1946年(昭和21年)10月に富山市館出において株式会社朝日組を設立し、1948年(昭和23年)4月に朝日建設株式会社に改称しました。今でも大林組、清水建設、鹿島建設、熊谷組、佐藤工業など、創業者の姓を付けた会社が多くあるのに、設立時から社名に林ではなく朝日という名前を付けたことに、祖父の先進的な気質を感じています。

   

 1940年創業ですので1990年(平成2年)が創業50周年に当たるということで、記念事業を行おうと考えました。1つは50周年記念誌の発刊、2つ目は、八尾町の総務課長さんに紹介され購入した八尾町桐谷の800坪の土地に社員のための保養所を作ることで、過疎化対策にもなるものです。

   

 当時、ログハウスが流行っていましたが、男性向け雑誌「ターザン」に思想家、発明家、建築家でもあるバックミンスター・フラー博士によって発明されたフラー・ドーム・ハウスが紹介されていました。このハウスの特徴は、2種類の形の異なる三角形を用い、それを相互に組み合わせることで、最小の部材から最大の空間容積を生むことができる構造物です。これにしようと即決し、このドーム・ハウスを設計できる設計事務所が金沢にあることを突き止め、設計を依頼しました。

   

 このドーム・ハウスの事例は1棟単独で建てられた事例ばかりでしたが、私はこれを2つ繋いで片方を研修棟に、もう片方を宿泊棟にすることを思いつき、名前も「アサヒ・ツイン・ドームズ」と決めました。

   

 設計ができていざ確認申請を取るという段階で、柱がない建物では許可できないと言われ、やむなく張りぼての柱を研修棟の真ん中に立て、許可をとった後に壊しました。こうして、1991年(平成3年)のゴールデンウイーク前にドーム・ハウスが完成し、最初の利用者は私の家族で、その夏には会社のビアパーティーを行いました。2000年にはミレニアムコンサートin桐谷と銘打ってジャズコンサートを行ったり、中南米出身者4人で作るアンデス音楽グループWAYNO(ウエイノ)が、ドームの音響が良いということでCDを制作したりもしました。

   

 しかし、台風で窓が破れたり、冬に水道管が破裂したり、雨漏りがし出したりし始め、経費もかかることから取り壊そうかと考えていた時、ドームを拠点にして、ドームのすぐ下の耕作放棄田で一から土壌を復元して無農薬の米作りをしているNPO法人アイ・フィール・ファインの中心メンバーの長谷川由美さんから、集客や維持管理、軽微な修理などをNPO法人で行うので存続してほしいと要請がありました。当社の総務部で行っていた利用者からの集金作業や維持の手間も省けるので、この要請を受けることにしました。

   

 さて、昨年3月に長谷川さんの紹介で、富山市内の小学校で数学の教員をしていた岡本さんが当社を訪ねて来られ、天体観測が趣味なのだが、空気が澄み、夜には集落の明かりが消えて夜空の観測には打ってつけのドームの敷地内に、直径2メートルほどの小型の天文台を設置したいという申し出をされました。私は、ドームを使ってもらうことで、ドーム内の空気の換気や掃除もできると思い承諾しました。

   

 岡本さんは、多くの方に天体観測を知ってもらいたいとの思いから、今年4月に観測会を計画されました。しかし天気が悪い予想だったので中止され、改めて8月12日の午後7時から観測会を行うとの案内を頂きました。おそらく10年以上出かけていなかったドームで帰り道が怖いので泊まりで参加することにしました。

   

 参加したのは、長谷川さんの知人の高山から来られたご夫婦と小学生の男女のお子さん2人、富山大学医学部のお医者さん、岡本さんと岡本さんの娘さんとその友達、そして長谷川さんと私の全部で10人です。

   

 小型天文台のそばに設置された天体望遠鏡は、直接覗いても岡本さんが説明する星座はなかなか見つけられませんが、この望遠鏡は自動的に目的の星を探してカメラに画像を送り、それをiPadで見ることができます。また、岡本さん持参のそれほど大きくない倍率の双眼鏡でも、はっきり見ることができました。

   

 この後は、研修棟でそれぞれ夕食をとり、日が変わって午前2時から流れ星を観測しました。私は自宅から持ち込んだサントリーの角瓶を楽しみながら、研修棟についているデッキで夜空を眺めていました。岡本さんが言う通り、2時頃から流れ星が見え始め、小学生の子供たちは「見えた!」と歓声をあげますが、私は見上げる方向が違っていて、なかなか見られませんでした。しかし、3時頃に夜空の真ん中を左上から右下に明るく輝いて流れる大きな流星を見ることができました。これまでに見た流れ星で一番美しく、大満足で研修棟にあるゲストルームに引き上げ、幸せな眠りにつきました。

   

 解散後、岡本さんは、「アサヒ・ツイン・ドームズ星空観望会」というLINEのグループを作られました。今のところ参加者は5人です。私から、夜空に思いを馳せそうなロマンチストの社員に、このLINEへの招待状が届くかもしれませんが、その時は参加をよろしくお願いします。一緒に夜空の星を見上げましょう♪