初孫とICT

2017.12.02

 1月のコラム「70歳」は、「そこにこそ経営者の仕事があると考えます。そう考えると力がわき、『嬉しい気分』になるのです。もうひとつ、理由がありました。70歳になった今月、初孫が誕生します。『なんだか嬉しい気分』のおおもとは、これかもしれません。」と締めくくっています。そして2月のコラムのタイトルはずばり「初孫誕生」で、書き出しは1月のコラムの締めくくりを受けて、「『なんだか嬉しい気分』のおおもとは、やはり初孫の誕生のようでした。1月20日に、長女に女の子が生まれたのです。」で、「娘が夫のTさんと二人で苦心しながら、出生届けの提出期限ぎりぎりに『Y』という名前を決めたので、少しずつ人間らしく、そして可愛らしくなっていく赤ちゃんにようやく『Yちゃん』と声をかけることができるようになり、今は完全に『じいちゃん』になっています。」と書いています。

 生まれてからこれまでの11ヶ月、孫に接する私の態度は、2月のコラムで紹介した高校の同期生と全く同じになっています。どちらかといえば硬派だった彼が、「『みんな孫は可愛いと言うが、俺はそうなるとは思っていなかった。しかし生まれてみたら、可愛いぞ』と、相好を崩して携帯電話の待ち受け画面に入れた赤ちゃんの写真を見せてくれた」のでした。彼のことを笑えません。私も会う人会う人に、「70歳にしてようやく孫が出来ました」とスマホの写真を見せるきっかけを意識的に作り、「可愛いですね」という反応に、内心「そうやろう、そうやろう」とほくそ笑んでいます。「孫」という歌謡曲は「なんでこんなに可愛いのかよ♪孫という名の宝もの♪」ですが、全くその通りです。

 さて、私はパソコンやスマホに、インターネット上にファイルを保存できるクラウドストレージサービスのDropboxを置いています。その中には、生まれた翌日に私が病院で写した写真に始まり、自宅に来たときの写真や、娘夫婦と会食したときの写真など、私が写した写真も入っていますが、圧倒的に多いのは、娘が1週間に2、3度LINEで送ってくる写真です。今では500枚以上になっていますが、表情が出てきた、寝返りができるようになった、ハイハイしている、肩車されて笑っている、一人で立つようになった、冷蔵庫にくっついているマグネットをはずすのが仕事など、日々どんどん成長している様子が確認できます。

 自分の子どもの2歳くらいまでの記憶は、4人の子どもともあまりありません。しかし、孫のYの記憶はずっと残ると思うのです。それはアルバムを引っ張り出して開かなくても、パソコンやスマホに入れてある写真はいつでもどこでも見ることが出来るからです。そのおかげで、仕事の合間に眺めれば、その後の仕事のエネルギーが湧いてきます。

 子どもたちのアルバムには、私の両親に連れられて出かけたディズニーランドや大阪での花博、そして父のふるさとの伊勢での写真が貼られています。私も、妻と孫との旅がしたいと願っていますが、その時に撮る写真もDropboxに置かれ、いずれ孫が見て、さらに孫が自分の子どもに見せることになるでしょう。これもICT(Information and Communication Technology:インフォメーション アンド コミュニケーション テクノロジー「情報通信技術」)の進化のおかげだと思いました。

 初孫の成長と同じように、ICTもまだまだ成長します。私もICTを活用しながら、孫とのコミュニケーションを上手に図っていきたいものです。

 と、ここで終わるつもりでしたが、一晩寝たらこんな思いがよぎりました。数少ない写真の中の1枚を見て、その頃の記憶をたどりながら当時の出来事を思い出す、そして、初恋の彼女は今どうしているだろうか?などと想像することが無くなり、記憶力や想像力が弱まるのではないかということです。気をつけなければいけないと思いました。