立山室堂でのライチョウ見学ツアー

2018.06.01
写真1:ライチョウ基金のシンボルマーク

「ニホンライチョウ」の人工飼育に取り組んでいる富山市ファミリーパーク(FP)が、昨年12月1日に、「神の鳥」とも呼ばれながら絶滅の危機にひんしている国の特別天然記念物「ニホンライチョウ」の現状を全国に知ってもらい、支援の輪が広がるようにしようと、飼育繁殖技術の確立に役立てる「ライチョウ基金」(写真1)を設立し、インターネットで出資を募るクラウドファンディング(CF)を始めました。3カ月で1千万円の募集を目標として、パークには募金箱も設置し、飼育に取り組む全施設を対象に必要な備品の購入に充てるほか、大学と進めている調査研究や人材育成、保全活動の普及啓発に活用するというものでした。
 昨年12月18日に、FPを舞台に活動している「富山市民いきものメイト」を通じて旧知の仲であるFPの石原園長が来社され、今のところ募金がまだ175万円で、2月末で1千万円の目標額に達しなければ今回の寄付プロジェクトは不成立となり、集まったお金は返金されることになる、そこで当社からも寄付願えないだろうかと話されました。
 県鳥のライチョウが絶滅しないように協力するのは、富山県の企業として、また富山県民の1人として当然であると思い、会社から30万円、個人として2万円の寄付をその場で即決しました。
 このCFは1月15日までに約520万円まで集まり、2月10日には目標の1千万円に達し寄付プロジェクトが成立し、私もホッとしました。石原園長からは、最終的にはCFで2,627万1,264円、FPでの現金受付が55万8,680円で募金総額2,682万9,944円だったとお聞きしました。
 さて、5月26日(土)と27日(日)にクラウドファンディングのギフトとして、立山室堂でのライチョウ見学ツアーを行うという案内が来ましたので、私と次女とで27日に参加しました。当日は電鉄富山駅発7:08分の列車に乗り、立山駅からケーブルカーで美女平、そして高原バスで車窓から称名滝や高山植物を眺めながら10時頃に室堂に着きました。参加者は、埼玉県から中年のご夫婦と30歳後半くらいの男性、名古屋から40歳前後の女性、そして富山からは、小学生と保育園児の子ども連れのご夫婦と私たち親子の総勢10名(写真2、3)でした。

写真2:担当者の説明を聴く参加者
写真3:ライチョウ探しに出発する参加者

FPからは石原園長、動物課の課長、そして企画事業課の担当者の3名が案内をしてくださり、好天の下、室堂平からみくりが池に向かいました。最初にライチョウを見たのは、遊歩道に人だかりがしている先のハイ松の中でした。しかし、赤緑色盲の私には見つけられませんでした。次に見たライチョウはいささか遠くの岩の上に立っていて、双眼鏡で確認しました。石原園長によると、あれは雄で縄張りを見張っていて、ほとんど動かずにじっとしているとのこと。3羽目、4羽目、5羽目は、みくりが池温泉近くの雪渓を歩いているライチョウでした。この先の遊歩道では、石原園長から、岩の上に残っていたライチョウの糞(写真4)を取ってきての説明や、ハイ松の枝の先の方には芽が出ていなくて途中から芽が出ているのは、冬に、積もった雪から出ているハイ松の枝の葉をライチョウが食べたからだという興味深い説明を受けました。

写真4:ライチョウの糞

そして6羽目が我々の数メートル先のハイ松の中を歩いていて(写真5)、そのうちにハイ松から出てきて岩の上に止まって周りを警戒する雄のライチョウ(写真6)でした。この時、大きな望遠レンズの付いたカメラを持っていた名古屋の女性が、私の隣で「飛んでくれないかな」と言うのを聞いたので、私は「念力で飛ばせて見せましょう」と言って、目をつぶり「飛べ!」と心の中で唱えたところ、何と目を開けたとたんにこのライチョウが飛び立ったのでした。この女性は、飛び立つのが早すぎて上手く写せなかったと言いました。最後の7羽目は、この岩の先の、くぼんだ雪渓のかなり遠くにスマホを持った人が集まっている所にいたライチョウで、先ほど飛び立ったライチョウが警戒していた別の雄でした。この女性は私に、「もう一度念力で飛び立たせてもらえませんか」と言うので、「遠いから念力が届くかな?」と笑いながら言いつつ念力を送りました。しかし目を開けても飛び立ちはせず、「やはり遠かったかな?」と言った2、3秒後に飛び立ったのでした。この女性、望遠レンズで捕らえた飛び立つ瞬間のライチョウの姿をカメラのモニターで見せてくれましたが、見事に撮れていました。この光景を見て石原園長は、日本のライチョウは、人間に慣れていて、カメラを持って近づいても逃げないが、北欧のライチョウは逃げる。それは、ライチョウを食用にしていたから。そして、日本人でも最近はスマホで撮影(写真7)するので、カメラとは写す姿勢が違いライチョウも戸惑っているという愉快な話も聞きました。 

 写真5:ハイ松の中を歩くライチョウ 
写真6:周囲を警戒するライチョウ
写真7:スマホで撮影する観光客

みくりが池山荘で昼食をとってから、そこで解散しましたが、名古屋の女性は朝3時に車で名古屋を出てこのツアーに参加し、室堂にもう2泊するとのこと。また埼玉の男性は、自然が好きで、年中、山に登ったり海にもぐったりしているとのことで、やはりダイビングもする名古屋の女性と話が弾んでいました。
 食事中に、石原園長がiPadに保存されているいろんなライチョウの写真を見せてくれましたが、雪をかぶったハイ松の中にいるライチョウは、指でなぞられるまで全くどこに写っているのか分かりませんでした。また、自然界では7個くらいの卵を順に産み、7個になったところで温め始めるが、これは孵化する日を一緒にするためだと聞き、感心しました。
 室堂までの帰りはかなりへばっていて、途中のベンチで休み、娘からチョコレートをもらって何とか再度歩き出すという有様でしたが、室堂ターミナル駅の売店で、ここにしか売っていないという、成政酒造が作っている日本酒「佐々成政の隠し酒」など4種類全部を買い込み、元気を回復しました。もちろん重いので、宅急便です。
 7羽ものライチョウが見られ、ライチョウについて学び、自然を愛する県外の人たちと交流し、お土産もゲットできた充実した日曜日となりました。来年も実施されるなら、参加したいと思っています。社員の皆さんにも案内しましょう。