懇親会での中締め挨拶〜「三方良し」カンファレンス〜

2013.10.25

10月11日に新潟市で開催された「三方良しの公共事業改革推進カンファレンスin 新潟」に、当社から6人で参加したが、このカンファレンスを開催するために、新潟県胎内市の小野組の小野社長を実行委員長とする実行委員会が今年の春に組織され、私は顧問として準備にいささか関わってきた。
 8月末の実行委員会で当日のスケジュールが発表されたが、カンファレンスが終わってからの懇親会での中締めの挨拶を、実行委員会顧問として私が行うことになっていた。私はいろんな懇親会で、乾杯の音頭や中締めの挨拶を頼まれるが、中締めの挨拶は、参加者が酔っていても自分は挨拶しなければいけないのであまり飲み過ぎられないし、飲んでいても挨拶のことが頭に引っかかって落ち着いて飲んでいられないので、中締めの挨拶はあまりやりたくはない。しかし、ご指名とあれば断らないのが私の主義。いつもの通り何とかなるだろうと、中締めの挨拶をすることを素直に了承した。
 今回のカンファレンスは、ゴールドラット・コンサルティング・ジャパン代表取締役の岸良裕司さんが「三方良しの 公共事業改革」について解説をした後、問題解決の事例発表として、行政改革を新潟県土木部監理課の阿部さん、教育改革をNPO法人教育のためのTOC日本支部理事の吉田さん(女性)が行った。そして、平成21年7月に私が富山県建設業協会 経営改革推進委員長としてボルファートとやまで行った「三方良しの公共事業推進セミナー」の講師として富山に来てもらった高知市の?礒部組の宮内技術部長が、公共事業改革の事例を発表した。この事例発表を受けて、岸良さんが、これまでのカンファレンスと同様にコーディネーターを務めて、事例発表者の3人に加えて大学生 2人も参加してのパネルディスカッションが行われた。
3部構成の今回のカンファレンスは、従来のカンファレンスとは少し視点を変えた内容の 濃いものであったが、カンファレンスの熱気をそのまま持ち 込んだ懇親会には、国土交通省北陸地方整備局の野田局長、木村企画部長、新潟県の宮田土木部長、日刊建設通信新聞社の西山会長などの来賓も出席された。
野田局長は、平成22年11月16日の名古屋でのこのカンファレンスでの座談会で、中部地方整備局の企画部長(当時)として「究極の発注者責任とは、発注者の原因で受注者に損を させないことである」と発言され、それを聞いた私は、役人でもこんなことを言う人がいるの
だと感激し、3日後の19日に「林@感激、覚めやらず」とメールをしたら、その日のうちに 「発注者は“我が事”として考える“組織としての”癖をつけなければなりません」という返事を頂いたその人であり、9月17日に、土木工事部の田島さんと出席した北陸地方整備局の安全管理優良受注者表彰式で、表彰式を終えてから私のほうにやってこられ、「お久しぶりです。名古屋で会ってから何年になりますかね」と私に声をかけてきた人である。
懇親会には130名ほどの参加があったが、野田局長、宮田土木部長など国や新潟県の建設行政のトップの方々、新潟県内各地から、また富山県、石川県からも参加していた若手建設経営者、そして当社の5人を意識し、笑いがとれ、しかしシッカリ印象に残るような話をしようと思った。
懇親会も1時間半経過し、いよいよ私が紹介され登壇。挨拶のスタートは、事前に予定していなかった野田局長についての話。今回のカンファレンスでの来賓挨拶でも、「究極の 発注者責任とは、発注者の原因で受注者に損をさせないことである」と話され、名古屋でのカンファレンスの感激を新たにしたことに触れ、「 “袖触れ合うも他生の縁”、というが、きっと私と野田局長は前世では兄弟だったのだろう」と話した。会場からの笑い声が聞こえ、「よし、よし」と、準備していた話に移行した。
「昨日の10月10日は何の日かご存知ですか?私と妻の結婚35周年でした」、これで爆笑。続いて「35周年記念に家族でイタリアレストランで食事をしたのですが、赤いバラを35本買って、事前にレストランに 届けておき、食事を終えてデザートになったときに感謝を込めて妻に渡しました」に、会場がどよめいた(ように思った)。これからが本題で、「さて、発注者と施工者はパートナーであるとよく言われ、先ほどのカンファレンスでもそう言われました。結婚式の披露宴のスピーチでは、恋人時代はお互いを見つめあい、結婚してからは同じ方向を見る、という話がされます。夫婦もまさにパートナーだと思うのですが、果たして現状では、発注者と施工者は、三方良しの“地域住民”の方向を見ているでしょうか?お互いに見つめあうことも無く、恋人同士でもないのではないでしょうか?結婚しているとしても それは偽装結婚で、お互いにそっぽを向いているのではありませんか?これからは、本当のパートナーとして、地域住民を見て仕事をしていきましょう!」とやった。拍手が起こった。ホッとして降壇したら、司会者から「中締めの万歳か一本締めをしていない」と指摘された。また笑われ、頭をかきながら再度登壇して、「ヨーォ」パン!と一発で締めた。
私が文字として再現したこの挨拶は、酔って話した実際の挨拶と全く一緒ということはないだろう。しかし、懇親会が終わってから、「良い中締めでしたよ」と何人もから言われたことからすると、言いたいと思っていたことは言えたのだと思う。
久々に、合格点をつけられる挨拶ができた。「段取り八分」の実践が奏功したと言えるのだろう。

パネルディスカッション

三方良しカンファレンス(中締め挨拶)

紹介されて登壇

平成22年11月16日の名古屋でのこのカンファレンス/座談会新聞記事