東日本大震災が発生してから来月の11日で5年が経過しますが、この大災害の復興は21年前の1995年1月17日に発生した阪神淡路大震災の復興に比べ格段に遅れています。特に対照的なのは仮設住宅からの転出で、阪神では仮設住宅の入居者が10か月後の1995年11月にピークを迎え、震災から5年後の2000年1月14日には入居世帯がすべて解消しましたが、東日本では今も災害公営住宅の建設が続いていて、宮城県でプレハブ仮設住宅に暮らす避難者は、今年1月31日現在23,763人(宮城県公式ウエブサイト)となっています。さらに、東日本大震災では、自然災害の地震と津波に加えて明らかに人災の東京電力福島第1原発事故が発生したため、完全に復興するのはまだ何十年か先だろうと思われます。
さて、私はこの5年間に社内報のこのコーナーで、東日本大震災に関連するコラムを10回書いていました。2011年は、発生した月の3月に「東日本巨大地震」、4月に「東北地方のこと」、5月に「東北地方に旅しよう!」、6月に「3.11大震災とロータリーの元米山奨学生の活動」、そして7月に「フクシマ会津若松に旅して」と題して5ヶ月連続で書いています。翌2012年は3月に「3.11から1年が経って」、8月に「福島の子どもたち」の2回で、2013年はゼロ。そして2014年は3月に「再び東北を旅しよう!」、6月に「 “東北地方を旅しよう!”報告」、9月に「BCP完成間近」の3回でしたが、昨年は再びゼロでした。
読み返してみると、それぞれのコラムで何らかの形で支援活動を続けようという想いを語っていますし、「3.11から1年が経って」では、「日本人は忘れっぽい国民だといわれ、私自身もその傾向が強いが、2万人近くもの死者、行方不明者を出した東日本大震災は、死ぬまで絶対に忘れてはいけないと思っている。この大震災で亡くなった方々、被災されて厳しい生活を送っておられる方々のことを忘れることなく、自分の人生の責務は何か、その責務をどのように果たせばよいかを考えながら生きていきたい。」と殊勝に述べていました。この忘れてはいけないという想いの実行が、2014年5月30日〜6月1日の岩手県、宮城県の被災地への慰安旅行でした。この旅行について「 “東北地方を旅しよう!”報告」では、「今回の旅行の目的は達せられたと思うと同時に、今後も3.11東日本大震災を忘れてはいけないし、何らかの支援活動を続けなければいけないと強く思った」と書いています。 このように書いているのに、昨年は何もしていませんでした。本当に忘れっぽいと思うと同時に、「自分の人生の責務は何か、その責務をどのように果たせばよいかを考えながら生きていきたい」と偉そうに書いたのは一体何だったのかと恥ずかしい思いに駆られています。
先月、経営企画室BCP関係チームの出戸チームリーダーと防災セミナーに出席しましたが、「最近の災害に学ぶ〜命と社会を守る建設業の使命と責任〜」と題しての防災アドバイザー山村さんの話の中の次の2つが特に印象に残っています。最初は「BCP(事業継続計画)はもう古い。今はCCP(コミュニティ継続計画)である」でした。当社がBCPを策定したのは、コラム「BCP完成間近」に書いている通り「建設業を営むものの使命は、ふるさと富山を発展させるために構築物を造ったり維持修繕したりするだけでなく、ふるさと富山が大災害に見舞われた時すぐに復旧活動できるようBCPを作成することも大事な使命だと思った」に通じると思ったからです。これは、CCPの考え方であると感じました。二つ目は「安否確認訓練の前に生き残り訓練をせよ」でした。コラム「BCP完成間近」の最後は「大震災は明日にも起こるかもしれない。繰り返しBCPに基づいた訓練を行い、社員の頭と身体に災害時に具体的に自分がとるべき行動を染み込ませることも社長の仕事であると思っている」でしたが、当社が策定したBCPには、会社との連絡方法や手順については記載されていますが、災害が発生したら個人としてまずどうするかは記されていません。生き残っていなければ会社から安否確認があっても応えられるはずもなく、ましてや復旧活動に当たれるはずがありません。
産経新聞2014年3月10日の記事、生存率99.8%「釜石の奇跡」「津波てんでんこ」の教えの正しさ(都司嘉宣)に、『平均して週1時間を防災教育に充て、年3回防災・避難訓練を行ってきた岩手県釜石市。その訓練時に生徒たちに指導していたのは「大きな地震が起きたら、とにかく早く、自分の判断でできるだけ高いところへ逃げる」という「津波てんでんこ」「命てんでんこ」の教えでした。この教えに従った児童・生徒562人全員は、無事自らの命を守ることになり、その俊敏かつ的確な判断と行動は、これまで多くのメディアでも取り上げられています。』と記されています。
東日本大震災から5年経った今年、当社のBCPを見直す年にしたいと思います。
2014年12月のこのコラム「来年の介護保険改定に異議あり」は、「2000年から始まった介護保険制度では、介護サービスを提供する事業者が対価として受け取る公定価格の介護報酬が3年ごとに見直しがされ、来年は5回目の改定である。」と始まり、後半で「週刊ダイヤモンド11/18の記事を読み、驚きが怒りに変わった。10月8日に、財務相の諮問機関が介護報酬を6%程度引き下げるよう厚生労働省に求めたとあり、また、財務省が、介護の全サービスの利益率の加重平均が8%程度で、中小企業の売上高純利益率の平均2.2%より高いという理由で、利益率の高い事業の単価を下げるように主張しているという。さらに、財務省は「6%引き下げは、あくまで介護サービス平均」と言い、引き上げるサービスがある一方で、6%以上引き下げられるものもあるとしているとのことだ。」と書き、「利益率は各企業で違っていて当たり前であり、その平均値をサービス単価切り下げの根拠にするのは、顧客であるお年寄りやそのご家族に満足して頂きながら、同時に企業を継続するためにちゃんと利益を上げようという、まともな介護事業経営者なら普通の考え方に冷や水を浴びせるようなものだ。処遇改善への加算などを拡充して人手不足を解消しようとしても、介護事業者の事業自体が悪化して介護職員の処遇が引き下げられたり、経営意欲を失って廃業や経営破たんしたりするようになれば、本末転倒である。こんな自明のことが、財務省や厚生労働省の役人には分からないのだろうか。腹立たしい限りだ。」と締めくくっています。
その後、財務省と厚生労働省の駆け引きを経て昨年4月の介護保険改定で、9年ぶりに実質4.47%、処遇改善加算などを加えても2.27%という介護報酬の大幅マイナスがなされました。
朝日建設の子会社として平成14年に設立した(有)朝日ケアは、平成15年から「あさひホーム」、平成18年から「あさひホーム吉作」を運営する中で、平成22年から平成26年までの5年間、それまでの赤字を脱して、利益額は毎年減少し利益率は1%そこそこでしたが黒字でした。厚労省による経営実態調査、特養の利益率8.7%でディサービスのそれが10.6%(平成26年3月時点)は、どんな調査に基づいているのか実に怪しい数字だと思っています。
しかし残念ながら昨年の5月末決算で、再び営業赤字に転落してしまいました。介護報酬の改定が4月で朝日ケアの決算が5月末ですから、介護報酬引き下げの影響は2ヶ月間だけでしたのに赤字になったのです。平成27年度の月次決算では、昨年はスタートの6月からずっと赤字が続き、今年5月末の本決算では昨年を大幅に上回る赤字が避けられそうにありません。
さて、昨年9月に「介護事業者の倒産最多 今年1〜8月、55件 報酬減や人手不足響く」という見出しの新聞記事を読み、私のコラムで指摘した「廃業や経営破たんしたりするようになれば、本末転倒」の通りに進んでいると思いました。さらに12月には、「介護報酬が今年4月から9年ぶりに引き下げられたなか、2015年1-11月の「老人福祉・介護事業」の倒産は66件に達した。すでに前年の年間件数(54件)を上回り、介護保険法が施行された2000年以降では、過去最悪ペースをたどっている。介護職員の深刻な人手不足という難題を抱えながら、業界には厳しい淘汰の波が押し寄せている。」と報道されました。それに対して厚生労働省は、「今回の報酬改定が事業者の倒産につながったかどうか判断できないが、経営への影響を調査し、3年後の報酬改定に反映させていきたい」(NHK)とのこと。次の介護報酬改定の2018年までに多くの介護事業者が倒産し、介護保険制度そのものが成り立たなくなるとは考えないのでしょうか。自分で介護をしたこともなく、介護現場の現実も知らない厚生労働省の役人の能天気振りにあきれてしまいました。お年寄りや家族のために介護保険制度を考えているとはとても思えません。
また、安倍首相が新たに掲げた「介護離職ゼロ」を達成するために、20年代初頭までに合計50万人分以上のサービス基盤を整備するという報道にもあきれました。新たに介護施設を作っても、人員基準数の介護職員が採用できず開業できない施設の多発が問題になっているのに、施設を増やしてもそこで働く介護職をどうやって確保するというのでしょうか。
朝日ケアのホームページに「チョットいい話♪」というコーナーがあり、「あさひホーム」と「あさひホーム吉作」が、利用者さんやそのご家族からいかに喜ばれ感謝されているかがわかる話も掲載されています。あさひホームのサービスを全般的にご利用頂いているN様の娘様からのコメント「あさひホームはディサービス、ショートスティ、訪問介護、グループホームと連携がとれていて安心して任せられます。またスタッフのレベルも高く、些細な事も教えて下さり気付かされる事も多いです。ついつい頼ってしまいますがこれからもよろしくお願いします。」に感激しました。感動的な話が他にもたくさん載っていますので、ぜひホームページをご覧ください。
最後に、私がこれまで12年間介護事業の経営に携わってきて思うことを書きます。第二次世界大戦で、現在90代の大正生まれ、現在80代の昭和1桁生まれのお年寄りは、男性は兵士として戦い、女性は銃後を守り、中等学校以上の生徒や学生は軍需産業や食糧増産に動員されました。また大都市の学童は、地方に集団疎開しました。そして戦後の焼け跡からの復興は、今の80代、90代のお年寄りの力によるものです。私の母も、富山の大空襲で焼夷弾の降る中シンガーミシンをかついで逃げ回り、戦後そのミシンを使って、注文を受けて洋服を作り洋裁を教えることで、家計を助け父の仕事を助けていました。戦中戦後にご苦労されたお年寄りにとって、あさひホームをご利用される時間がハッピーであって欲しいと心から願っています。この私の願いにあさひホームの介護職員の皆さんは、時にはここまでするのかと思うような介護で応えてくれています。感謝の念に耐えません。
社会保障支出を抑制することしか考えない財務省と、介護事業所の実情を知らずに介護報酬をいじくり回す厚生労働省とに翻弄されている介護事業経営ですが、私は前述の思いを忘れずに、これからも知恵を絞って朝日ケアの経営に当たります。そのために経営者が必要なのですから。
7月のコラム「角川温泉運動会員」の最後の文章は、「これまで健康のため、そして、みっともない姿勢を治そうと色んなことをやってみましたが、長続きしたためしがありませんでした。しかし今度は、「93歳で、背筋を伸ばして元気一杯」というビジュアルな目標があります。今度こそ続けたいと思っていますが、12日(日)と14日(火)に出かけたものの、仕事がつまっていてその後6日間行っておらず、今日21日(火)も懇親会があるので行けません。しかし、懇親会の無い日は、午後5時を過ぎても9時、10時までだらだらと仕事をしていることが普通の私ですが、このセンターの営業時間が午後9時までなので、午後7時までに仕事を切り上げて出かければちょうどよい温泉運動が出来ると思います。会社と自宅の間の良い気分転換の時間にもなることでしょう。1年後に、「こんなに姿勢が良くなりました」というコラムが書けたらよいと思いながら、これにて今月のコラムを終了します。」でした。
今月は、その後はどうなっているかについて書きます。結論から先に書けば、またまた挫折しそうになったのです。
7月14日の3回目の後、7月は22、24、26日と3回行きました。8月は中1日から中4日の間隔で10回、9月も同じような間隔で10回、しかし10月は、19日(月)のプロジェクト会議、翌日から1泊の名古屋出張、そして22日(木)から25日(日)まで4日連続の飲み会で7日間行けなかったことがたたって8回、そして先月11月は22日の日曜日と23日の祝日には行こうと思えば行けたのに行かず、24日(火)までに行ったのは6回、25日(水)から28日(土)までは時間が取れませんでしたが、29日(日)も億劫になって行きませんでした。そして今月12月は、午後7時を過ぎても仕事が終わらない日が多く、5日連続の忘年会もあったりして、11月25日以降1回も行けずに3週間が経過し、思うように時間が取れないということで、止めようと思うようになってきました。
しかし、この理由を強力に後押ししているのは「つまらない」なのです。たいていの会員は1時間くらい利用していますが、私はまずプールの中を7分間ほど歩いてからジェット水流を腰や肩に当て、気泡風呂の後に5分間サウナに入って30分間で切り上げます。しかしその30分間でも、一人黙々と運動するのが何ともつまらないのです。
「角川温泉運動会員」を止めようという気持ちがどんどん強くなってきたものの、12月の最後のほうだけ利用するとしたら会費はどうなるのか気になり、18日にセンターに電話して尋ねました。(【補足】参照)回答は、25日以前の利用なら1日240円の日割りで月末までの日数分の会費、26日(土)からだと無料とのことでした。12月30日からは休館なので、電話した翌日以降29日までの11日間の内、私の利用可能な日をチェックしたら7日間ありました。そうすると、直近の利用可能な20日から29日までは、7日間の利用ですが10日分の会費で240円×10日=2,400円支払うことになり、26日から29日だと、3日間利用できて無料ということになります。そうなると現金なもので、健康のことを考えるなら20日に2,400円払って年内7回利用すべきなのでしょうが、20日からではなく26日から再開しようという気になりました。
しかし、「つまらない」は解消されていません。今後のコラムで、どのようにして「つまらない」を克服し「角川温泉運動会員」を続けているか書けたら良いと思っています。
【補足】
角川介護予防センターの会費は、入会月のみ開始日から月末までの日割り計算(1日240円×月末までの日数)となります。