新聞記事の切り抜き

2025.10.24

 私の机上のキーボードの後ろには、新聞のコラムの切り抜きが記事の種類ごとにクリップ止めしてあります。各新聞社の新聞の1面下段には毎日コラムが載っていますが、北日本新聞は「天地人」、富山新聞は「時鍾」、朝日新聞は「天声人語」そして日経新聞は「春秋」です。富山新聞には、中ほどのページに「きょうの言葉」というコラムも掲載されています。

   

 パソコンの「ジャンル別新聞、雑誌記事」というフォルダーには、前述のコラムでパソコンにデータとしてしまっておきたいコラムや、その他の新聞連載記事や雑誌の記事をスキャンして、フォルダー別に入れています。

   

 連載記事のフォルダーは古い順に、「02~15課外授業新聞記事など」(富山経済同友会が講師を派遣して行っている中学2年生に対する授業) 、「志村ふくみ」(亡くなった母が大好きだった藍染の大家)、「19.7 中西進さん」(高志の国文学館の初代館長)、「20.3、4 新型コロナウイルス関係」、「21.4.26~ 語る 児童文学作家 角野英子」(「魔女の宅急便」の作者)、「24.7 レストラン小西」(富山のフランス料理の草分けのオーナーシェフ小西兼造さん)、「25.5.15-5.28 別院仲通り二週間ひろば」(民芸店「林ショップ」を営む長男が実施するイベント広場)で、その後に日付なしで「阿川佐和子 だいたいしあわせ」、「新聞・雑誌記事:コラム、論評など」、「新聞・雑誌記事:その他」、「新聞・雑誌記事:個人、家族、親戚」、「新聞・雑誌記事:朝日ケア・介護記事」、「新聞・雑誌記事:朝日建設・建設業界」で、その後に、単独記事が76本あります。

   

 この記事を書きながら、何のために保管しているのかと自問しました。当然、後日読み返したり、参考にしたりするためですが、読み返したためしがないことに気付きました。

   

 そこで、最近切り取った10月13日の富山新聞の「月曜手帳」を読み返しました。記事のタイトルは「ドラマーは華より中身」です。書き出しは「自民党の新総裁、高市早苗氏は若い頃にドラムを叩いていた。神戸大学に在学中はロックバンドのドラマーを掛け持ちでこなしていたという。」で、次に続く項「ちょっと違う」では、「ドラムはリズムの要である。とにかく自分を信じ、しっかり叩いていく。ドラマーは地味で真面目だが、それだけではない。自己陶酔できないと務まらない。」、「高市氏は『飲み会』が苦手とあった。夜は時間があれば資料を読み込み、原稿を書くという。真面目で他の政治家と違うところは、バンドでドラムを担当した人らしい。」とあり、最後の項「味方は十分か」で、「目立つボーカルより、要のドラムを選んだ人である。国民が希望を持てる国をつくるため、華より中身で、馬車馬のように働くと決意したのだろう。味方は十分なのだろうか。仲間づくりに終わりはない。」と結んでいます。

   

 自民党の高市総裁は日本維新の会と連立を組み、21日に衆参両院の本会議で第104代首相に指名され、憲政史上初の女性首相に就任しました。高市氏はガラスの天井を破ったのです。これからいろんな課題に取り組むことになりますが、私が最も危惧するのは、積極財政を訴えた高市首相に対する財務省の抵抗です。味方を増やし、財務省の官僚に丸め込まれずに政策を実現していただきたいと思います。そして「高市関連」というフォルダーを作り、高市首相に対する新聞各社の見方を日々ウオッチしていこうと思います。

クロスケ16歳

2025.09.25

 我が家の飼い犬クロスケが、9月2日に16歳になりました。クロスケの母親はハナですが、これまでこのコラムで、ハナやクロスケのことを何回取り上げたか調べてみました。

   

 最初は2007年10 月でした。「ガールフレンドができた」で、朝日ケアの介護部長の家で生まれた柴犬のミックスと思われる生後2か月のメスの子犬が9月にあさひホーム吉作にやってきたこと、そして介護職員がハナと名前を付け60歳の私が毎朝ハナを散歩し、日中はホームで介護職員として働いていると書いています。2009年9月の「初孫誕生-その1-」では、9月2日の午前3時に、ハナが近所の家で飼っている柴犬のダンとの間に5匹の子どもを産み、私が出産からその後のハナと子犬の様子を朝まで観察していたこと、そして10月の「初孫誕生-その2-」では、クロスケだけ我が家に残り、他の4匹はあさひホームの職員や厨房の職員さんにもらわれていくことになったと書いています。2022年7月の「クロスケのこと 」では、6月にほとり座で観た映画「シバ 縄文犬のゆめ」のことと、母親のハナが1月4日に12歳で死んだことを書いています。2022年11月の「グレーとクロ(スケ)」では、「グレイがまってるから」という本に登場する5歳で死んだシベリアンハスキーのグレーと13歳のクロスケについて書き、「私はあと5年で80歳、その時クロスケは18歳。最近ネットで20歳まで生きられるとうたったプロテインの白い粉を、高価でしたが買いました。クロスケ、20歳まで生きろよ!」でコラムを締めています。

   

 そして2023年9月の「クロスケ14歳」では、冒頭に、かかりつけの動物病院で「人間なら72歳です」と言われ、72歳なら前期高齢者ですからクロスケは老人(老犬)であり、後期高齢者である私の弟です、と書いています。また、側溝を跳び越せずグレーチングの上を歩けないような臆病なクロスケがいつの間にか克服し、好奇心旺盛になり遠くにいる雉やタヌキや狐を見つけて吠えること、「そして『毎日散歩と食事以外はひたすら寝ているだけ』は変わらず、23時間は玄関の中か前でうつ伏せになったり横になったりの格好で、ひたすら幸せそうに寝ています」と書いていますが、今も散歩以外の時間はひたすら寝ているのは変わりません。ただ、体力が衰えてきていることは以下の行動で感じます。

   

 ・リードをつけようとするとき、ときどき腰砕けのようになること

 ・おしっこをするとき、以前は左右どちらかの後脚をあげていたのが、両脚を地面につけたまま雌犬のように腰を落としてするようになったこと

 ・ウンチをするときは、必ず3、4回くるくる回った後でするので分かりやすかったのが、今はおしっこと同じスタイルですること

 ・ときどき側溝に落ちること、落ちたら上がりにくいこと

 ・餌を与えたら、以前はあっという間に完食していたのに、今は数時間かけて食べていること

 ・以前は配達員が門に来ると吠えるので誰か来られたと分かったが、今は全く吠えないこと

 ・散歩のとき、門の格子の引き戸を鼻で器用に右にずらせたのが、今は私が開けないと外に出られないこと

   

 私は1日7,000歩を目標にしていますが、毎朝40分間のクロスケとの散歩で2,800歩ほど歩くことができます。私もクロスケも背中を丸めて歩いていますが、お互い良い運動になります。

   

 最近は、「お互い元気でいようね」とか「あと2年で父ちゃんは80歳、クロスケは18歳だよ」と声をかけています。人間なら80歳で私の兄になった16歳のクロスケに感謝です。

井上ひさし著「野球盲導犬チビの告白」

2025.08.26

 小説家の井上ひさしについて書いたコラムは、昨年11月の「井上ひさし」で、「井上ひさし ベスト・エッセイ(井上ユリ編)」を読んでの感想を書き、今年6月の「聞きなれない言葉」で「自家製 文章読本」に出ていた言葉を紹介しました。6月のコラムの最後に「古志の文学館での井上ひさし展で買い求めた未読の20冊近くの文庫本を読もうという意欲が湧きました。晩酌をほどほどにして、寝る前に数ページ読もうと思います」と書きましたが、晩酌のアルコール量は減らないものの、寝る前の20分ほどの読書を数か月間繰り返して、先日ようやく読み終えたのが451ページの文庫本「野球盲導犬チビの告白」です。

  

コラム「井上ひさし」では、昨年の9月24日に古志の国文学館で開催された生誕90年 井上ひさし展」での奥さんの井上ユリさんの記念講演「ひさしさんの思い出」で、井上ひさしは本を書くのに徹底的に資料を集めたという話が印象に残ったと書きましたが、 「野球盲導犬チビの告白」を読みながら、まさにその通りだと思いました。戦後野球史、残るスコアカードや週刊誌の雑記などが紹介されています。また、王貞治や別当監督、金田正一、西本投手、山倉捕手、宮沢主審も登場しますが、本当にあったことのように思わされてしまいます。

   

 この小説は、生まれながらの盲目の田中一郎が横浜大洋ホエールズに入団し、盲導犬チビの助けを借りながら、対巨人戦で2打席連続で予告ホームランを打ち一塁の守備もこなすという話です。チビと田中一郎の出会いは、千葉県市川市の市川駅の北にあるラーメン屋『小人軒』(小人とは巨人の反対でアンチ・ジャイアンツという意味が込められている)の主人の永井増吉さんが店員の田中一郎の野球のコーチで、永井さんと田中一郎が市川市営球場で練習をしていた時に、チビが土手にめり込んだボールを掘り出し、右翼席から投手板まで運んで行ったのが縁でした。それで『小人軒』で飼われるようになったのです。

   

 盲目の天才打者・田中一郎がプロ野球界に打って出るには、守備や走塁時に彼の目となってくれる誰かが必要でした。そんなときに現われたのが野良犬のチビ。前の飼い主の千葉県習志野市の植木屋の次男坊が野球の審判員を目指していて、その時に野球のルールを覚えたのです。野良犬だったチビは野球盲導犬として田中一郎の相棒に昇格しました。

   

 巨人入りを熱望する田中一郎でしたが、盲目を理由に一蹴されてしまいます。しかし、横浜大洋ホエールズのテストに合格し、野球規則を始めとする幾多の問題を乗り越え入団が決まりました。そこから、田中一郎と野球盲導犬チビのサクセスストーリーがスタートし、世間は盲目の天才打者に興奮し、その人気はプロ野球界に止まらず社会現象にまで発展しました。しかし、彼らを快く思わない某球団(巨人)連中がついに妨害行動にでます。チビを田中一郎から引き離すため、チビを囮犬の美しいメス犬に近寄せ、後ろからクロロホルムをかがせて気絶させ、某球団の黒幕の妾である藤山桃枝という女性が住むマンションに監禁されてしまうのです。チビは浴室に閉じ込められ、妾の彼氏である獣医大学の学生長谷吾郎に毒を注射され殺されようとします。しかし、妾のパパである政五郎親分と「日本プロ野球界のVIP」と奉られていた禿頭の老人が入ってきて麻雀を始めます。桃恵が、どうしてみんながチビに血眼になっているかと尋ねたら、VIPはチビの生命を絶つことが巨人のためであり、ひいてはプロ野球界のためであると答えるのでした。この後、江川卓の話になり、チビは隙を見て逃げ出すことができました。これ以上書くとネタバレになり、実際に「野球盲導犬チビの告白」を読む社員の興味を削ぐことになるので、このあたりでこの本の概要を記すのをやめます。

   

 さて、今読んでいるのが、井上ひさしの三女の井上麻矢さんの「夜中の電話」です。この本の第2章には、2009年にがんで療養中の作家である父・井上ひさし氏から「こまつ座」の運営を引き継ぐことになった娘の麻矢さんに宛てて語られた77の言葉が書かれています。父から娘への遺言とも言える言葉には、生き方のヒントと劇団経営テクニックが込められており、今晩(8月23日)読もうと思っている13番目の言葉は、有名な「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをゆかいに、ゆかいなことをまじめに書くこと。」です。

   

 この本を読み終えたら、“「井上ひさし」を読む 人生を肯定するまなざし”を読みます。この本では、作家・大江健三郎、辻井喬(実業家堤清二の筆名)、劇作家・平田オリザなどが対談しています。娘さんや井上ひさしと所縁のあった人の見方を知ることは、今後、井上ひさしの著書を読むうえで参考になることでしょう。

   

 連日猛暑日が続きますが、クーラーを効かせた寝室で、今夜も「夜中の電話」を読みましょう。

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