~早く絶版になってほしい~#駄言辞典

2022.01.26

私は毎朝NHKラジオ第1放送を犬の散歩中に聴いています。その中に「著者からの手紙」というコーナーのある日があり、昨年12月中旬に、本の帯に「家事、手伝うよ」と書かれた表題の本が紹介されました。この本は日経新聞が昨年11月の紙面で、「心を打つ『名言』があるように、心をくじく『駄言』(だげん)もある。『#駄言辞典』を付けて、駄言にまつわるエピソードをつぶやいてください。まとめたものは、絶版を目指して出版します。」と案内した結果出版された本ですが、この放送での「家事、手伝うよ」がなぜ心をくじく『駄言』なんだろうかピンと来なくて、早速ネットで買いました。

      

 まず【駄言・だげん】とは、「女はビジネスに向かない」のような思い込みによる発言。特に性別に基づくものが多い。相手の能力や個性を考えないステレオタイプな発言だが、言った当人には悪気が無いことも多い。」と説明があり、第一章の実際にあった「駄言」リストには、女性らしさ、キャリア・仕事能力、生活能力・家事、子育て、恋愛・結婚、男性らしさの6篇に分けて、つぶやきが書かれています。

      

私は性別による仕事の分担に違和感を覚える方で、私が4月に入社した昭和50年、10月に本社ビルが新築してからの社内の様子に覚えた違和感が二つありました。一つ目は女性社員が男性社員にお茶を出すことで、朝8時、10時、12時、午後3時と4回も出すのです。社員へのお茶出しに女性社員を雇っているのではないと思い、お茶が飲みたければ自分でお茶を入れて飲むように通達しました。二つ目は、便所や事務室のフロアの掃除も女性社員がやっていることでした。これもおかしいと思い、シルバー人材センターに依頼して、人材を派遣してもらうことにしました。

      

 また、私は富山西ロータリークラブ(RC)の会員でしたが、平成9年(1907年)に分かれて富山みらいRCを設立しました。当時、富山市内の5つのRCに女性会員は一人もおらず、富山市内で最初にできた格式高いRCの会員は「女が入るのなら、俺はRCを辞める」と公言していました。しかし私は、ぜひ設立メンバーに女性を入れたいと思い、取引先の女性社長と、銀行の紹介で2人、計3人の女性に入会してもらいました。そのうちの2人は後にクラブ会長を務めましたが、現在の女性会員は11人で、富山県、石川県のクラブでは最も多い女性会員となっています。

 では、駄言リストから、いくつかのコメント付きのツイッターを紹介します。

      

#「(家事)手伝うよ」(夫が妻に言うこのフレーズが駄言のキングなんじゃないの?当事者意識がないことがこれ以上うまく表れた言葉はない)

⇒私:妻の家事育児時間が夫の約5.5倍(内閣府平成30年版調査)とのこと。今後は妻には「手伝う」と言わないことにします。

#「男みたいな女だな」(親から言われた)

#「女性にうれしい」(グルメ番組などでヘルシーな料理を表現するやつ。健康を気にしているのは女性だけ?)

#「やっぱり服はピンクじゃないと」(娘が生まれたときに言われた。何色着てもいいよね?)

#「女のくせに生意気な」(これって普段から女は格下と思っているから出る言葉)

#「化粧もっとちゃんとしてきたら?(面接のオッサンに言われた)

#「女性は課長の隣に」(職場の飲み会で。「女性」と飲みたいなら、お金払ってプロのサービスを受けてください。部下を代用品にしないで。)

#「いざとなったら結婚すればいいもんね」(就職先が決まらない女子に向かって。)

#「女性管理職」(管理職という言葉には「男性」という意味でもあるんかな?)

#「女性が活躍する社会」(分かってなさそうな人が軽々しく使うのを聞くと「お前が言うな」と思う。)

#「女性に優しい職場」(家事や育児と両立しやすい職場は「人間にやさしい職場」)

#「おまえが男やったらよかったのに」(上司からの誉め言葉)

#「正式な商談になったら男性の担当がつくんですか?技術が分かる方と話したいのですが」(営業先でお客様に言われたこと。その男性の担当者は、私の部下ですが・・・)

⇒私:当社の女性社員のT主任やI主任は、第一線の技術者として新聞広告の紙面に登場しています。

#「君が男ならたくさんの就職口があるんだけど」(大学生の時、就活で失敗が続いたとき、教授に言われた)

#「主婦って暇でしょう?昼間、何してんの?」(家事です。昼間だけでなく夜も朝も家事してます。大中小といろんな仕事があります。ちなみに暇ではないです。)

⇒私:妻は夕方の犬の散歩もしています。

#「主人」(世の中の奥様方からブーイングを食らいそうですが、これ、使いたくない。「ご主人」て使われるのを聞くのも嫌。私、夫の下僕じゃないもん。)

⇒私:妻に話してこれからは「夫」と言ってもらいましょう。

#「そんなことしたらママに叱られるよ」(おまえ父親やん、おまえが叱れよ。)

#「嫁」(女偏に家ですよ。もう存在自体が罪悪)

⇒私:姑(しゅうと)もそうですね。女が古くなった。嬶(かかあ)もそうかな?鼻っ柱が強いから(笑)

#「男だって⁉でかした!」(私は私と夫の子を産んだのであり、それがたまたま男の子だっただけ。義理の実家のために命がけで子供を産んだんじゃないよ。)

⇒私:同じ言葉を聞いたことがあります。

#「イクメン」(普通に父親でいいのに。)

⇒私:「イクメンとは、子育てを楽しみ、自分自身も成長する男性のこと」とあります。普通に父親と言ったのでは、この意味は伝わらないのでしょうね。そこが問題ですね。

#「女みたい」(男性に対する侮辱に使うのやめろや。侮辱される男はもちろん、女にも失礼すぎだろ。)

#「男のくせに言い訳するな」(これうちの夫が息子に怒るときに言うから、そのたびに割って入って「男女関係ないよ!」って訂正する案件。)

#「デート代は男が払うの、当たり前でしょ」(男女平等をうたう一方で、いまだにこういうところは考えを改めない女性が多い。男女平等を主張するなら、割り勘を申し出るべき。30代男性)

⇒私:女性と食事して割り勘にしたことはありません。割り勘にと言われても、全部私が払います。

     

長くなるので、この辺で終わりますが、面白くて、かつ自分にもこんなところがあるかもしれないと考えさせられる本です。日経BP発行で1,400円+税です。

75歳を前にして

2021.12.27

 私は来年の1月2日に満75歳になり、いよいよ後期高齢者の仲間入りをします。私が富山支部の世話人代表(支部長のようなもの)を務めている「新老人の会」は、聖路加国際病院名誉院長の日野原重明先生が、75歳以上を後期高齢者と呼ぶことに対して異議を唱え、75歳以上の人を「新老人」という名称でシニア会員、65歳以上の前期高齢者の人をジュニア会員として2000年9月に設立されました。私が誘われて「新老人の会」富山支部に入会したのは2009年62歳の時でしたが、世話人代表にさせられたおかげで当時98歳であった日野原先生に直接お会いする機会が出来ました。先生は105歳で亡くなられましたが、その間、背中は曲がっても頭脳明晰で理路整然とした話しぶり、体を前後左右に揺らしながら楽しそうに合唱の指揮をとる姿、ユーモアを交えた講演などにじかに触れることが出来たことは、かけがえのない経験でした。また、富山支部や全国の70代、80代の会員の方々と知り合いになり、「亀の甲より年の劫(こう)」ではありませんが、しっかりした意見を持ち堂々と発言される姿に感心したことも度々ありました。ようやく後期高齢者の仲間入りができたので、これまでお会いしてきた元気な「新老人」に負けないように元気で生きていこうとの思いを新たにしています。この思いから最近は「私は今74歳ですが、93歳で迎える当社創業100周年記念式典でのあいさつを今から考えています」とあちこちで言っています。

  

 さて、私は60歳代から腰が曲がり気味でしたが、ここ3年曲がり方がひどくなり、歩くときは臀部に痛みを感じています。整形外科に通い、整体や鍼灸院にも通いましたがはかばかしくありません。今は、通販で買ったオムロンの電気治療器に望みを託しています。しかし今のところ生活習慣病健診でもほとんどの項目が「異常なし」で、「要経過観察」が身体計測(肥満)、「治療中」が血圧と肝機能でした。脳ドックの検査も脳梗塞・心筋梗塞発症リスクは「低」でした。これで安心しているわけではありませんが、365日ほぼ毎日、家でも外でも多種多様なお酒と料理を楽しんでいます。72㎏を切ることを目標に毎朝測っている体重は、コロナ禍のせいにしているのですが、このところ74㎏超が続いています。年末年始のご馳走と酒を少し控えようかと、この原稿を書きながら思っています(無理だろうなぁ)。

  

 さて、当社の初代社長である私の祖父林銀蔵は、1940年の創業から亡くなる1966年まで26年間、二代目社長の私の父林俊郎は1966年から70歳の1991年3月末まで25年間社長を務めました。父は60歳代後半に大病を患ったことから70歳を機に社長を退くと決めたようです。私が社長に就任したのは1991年4月で44歳でしたから今年3月で30年経ち、社長歴は祖父と父を超えました。この30年間、そして28歳で入社してからの46年間を振り返ると、かっこよく言えばチャレンジの連続で、コンピュータを始め新しい機械や新しい制度をたくさん取り入れてきました。思いもかけぬ事件に遭遇した時も、先頭に立って解決してきました。

  

 私も腹の中では社長を退く年齢をほぼ決めていますので、75歳を機にこれまで以上に副社長、専務、本部長などの幹部社員に権限を委譲していこうと思います。しかし好奇心が旺盛で新しもの好きという私の性格は変えられません。変わったら私が私でなくなります。

  

 最近ますます尊敬の念を深くしている中村天風師の言葉に「人生で最も大切なことは、何をおいても自分の心に積極性を失ってはならないということである。」(「中村天風さんの最近のツイート」から)があります。好奇心も新しもの好きも積極性の一面だと思いますので、私が何か新しいことを言い出したら、私がまだ元気な証拠だと思ってください。

「私は白鳥」試写会

2021.11.25

 9月のコラム“「玉磨かざれば光なし」と言うけれど”では、「SDGs宣言して社外に情報発信していない企業は、採用活動において最初から負けたも同然だと思います。ですからSDGsの目的は前述の通り当社の課題をあぶりだし、解決に向かって行動したり今後の成長分野への参入を考えたりすることですが、SDGsを採用の手段にしない手はありません。」として、最後に「今日、全ての企業の最重要課題は採用であると言っても過言ではありません。(中略)私が尊敬する中村天風師は『百歩譲って、いくら磨いても玉にならないとしてもだよ、磨かない玉よりはよくなるぜ。ここいらが非常に味のあるところじゃないか。』と言っています。宝石の原石ではなく普通の石であっても、先ずは手にして磨きましょう。」でした。

 

 こうしてコラムでも書くくらいに、最近の私の頭の中は採用で一杯で、このコラム「私は白鳥」も採用つながりの内容です。

 

 10月のはじめにチューリップテレビから、11月9日に総曲輪のほとり座で行うチューリップテレビが開局30周年でTBSと共に企画制作した映画「私は白鳥」一般向け試写会への協賛企画が持ち込まれました。この概要はチューリップテレビの番組の中で「朝日建設presents」と読み上げる試写会告知用CMを20本放送し抽選でペア40組80名を招待する、当選ハガキ・落選ハガキには当社の広告を掲載する、来場者にチラシなどサンプリングを実施し、上映前に司会のアナウンサーが当社を紹介するというものです。

 

 提案を聞いた私の頭の中では、ほとり座は毎月2~3本は映画を観ているお気に入りの映画館であり、それなりに料金はかかるものの当社だけの提供ということなので、CMを見た人や試写会に来た人に当社を知ってもらう良い機会になるだろうとの思いがかけ巡り、「しましょう」と即答しました。

 

 映画は、越冬のために富山市の田尻池に飛来してきたものの翼が折れ、シベリアに帰れなくなった白鳥と、その1羽に自分を投影しながら世話を続けた“おじさん”こと澤江弘一さんの4年間を追ったドキュメンタリーです。

 

 さて11月9日の試写会に私も知人と観に行き、受付でチューリップテレビの担当者に当社の会社案内とトミカの建設機械(ブルドーザー、バックホウ、グレーダーなど8種類)を入れた会社の封筒40枚を渡したところ、上映前のアナウンサーからの紹介の後、私もステージ前で一言話してほしいとの依頼です。アナウンサーからの紹介文は「朝日建設は1940年、昭和15年10月に創業し、先月創業81周年を迎えました。1946年、昭和21年以来、土木舗装工事をメインに電気設備工事も行い、戦後の富山市の復興そして成長発展に寄与してきました。当社の経営理念『建設事業とその関連事業を通して世の中の役に立つ。そして、ふるさと富山を発展させる。』のもと、一昨年、水道工事事業にも進出し、災害時には土木舗装、電気、水道の復旧にワンストップで対応できる体制を整えました。2040年の創業100周年に向け、現在3ヶ年中期経営計画を着実に進めています。」として渡してありこれ以上何を話そうかと思いました。しかしこれも当社を知ってもらう良い機会だと捉え、予告編が上映されている30分ほどの間に考えて次のように話しました。

 

 「今は建設業に限らずどんな産業でも採用が最重要課題になっています。そこで今日の試写会でこの映画を提供し、当社の宣伝をしようと思いました。皆さんにトミカの建設機械をお配りしたのもその思いからです。3K6Kと言われ敬遠されがちな建設業ですが、建設業とりわけ当社が携わる土木事業は英語ではシビルエンジニアリングと言い、シビルはシビリゼーション、文明に通じ、文明をつくる重要な産業です。当社に限らず土木工事業者は皆そんな使命感を持って日々仕事をしていますので、温かい目で我々を見ていって下さい」

 

 そしていよいよ映画が始まりました。映画の中で、タイトルの「私は白鳥」は白鳥たちの美しさの虜になり、ビデオカメラでその姿を記録し続けてきた澤江さんの「心の隙間がどういうわけか白鳥の形をしていたようで。」「私は人間の形をしてますが、自分は白鳥だと思ってます。」「白鳥が白鳥の世話をしているだけなんです。」の言葉から名付けられたと知り、こんなにも純粋な心を持った57歳の男性がこの富山に実在することに感動しました。20日から先行上映されていて12月9日まで上映しています。社員割引きもしていますので、ぜひご家族でご覧ください。

 

追記。映画が始まる前に、私の近くに座っていた男性が会社の封筒から取り出したバックホウを眺めていたので、すかさず「朝日建設の社長です」と挨拶しPRに努めました。

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