2021.07.26 Null

まど・みちおのうちゅう

 7月10日の土曜日に、高志の国文学館でこの日から開催された企画展“「まど・みちおのうちゅう~「ぞうさん」の詩人からの手紙”の開会式に出席し、その後、コロナ禍のため学芸員の案内無しで会場を見て回りました。おそらく入場者の中では一番長く1時間半ちかくかけて回りましたが、学芸員の案内で回ったらこんなにゆっくりとは回れなかったことでしょう。 


 まど・みちおさんについては、「ぞうさん」「やぎさん ゆうびん」「一ねんせいになったら」などの童謡を、ほとんどの社員のみなさんは知っているか歌ったことがあると思います。私は、NHKのみんなのうたで歌われた「むかし なきむし かみさまが あさやけ みて ないて ゆうやけ みて ないて」で始まる「ドロップスの うた」がお気に入りですが、この歌もまどさんです。まどさんをさらに好きになったのが、2014年に、中部地方整備局の企画部長時代からの知り合いで当時北陸地方整備局局長だった野田さんからメールで紹介された3篇の詩のひとつにあった、まどさんの「朝がくると」でした。「朝がくると とび起きてぼくが作ったものでもない 水道で 顔をあらうと(中略)ぼくが作ったものでもない道路を ぼくが作ったものでもない学校へと ああ なんのために いまに おとなになったら ぼくだって ぼくだって なにかを 作ることが できるように なるために」と、水道、道路、学校とインフラが登場し、おとなになったら洋服、ごはん、本やノート、ランドセル、靴、そして水道、道路、学校など何かを作ることができるようになるために学校に出かけて勉強すると言っています。土木を学ぶ意味もそこに語られていると思いましたが、野田さんの注釈に、もともと(台湾では)土木技師でしたとあり、納得でした。


 会場のエントランスでの最初が「まどさんの詩のとびら」コーナーです。6枚のパネルには、開くと出てくる動物や植物の詩を抽象的に表した絵が描かれた四角や丸、三角の窓が取り付けてあり、取っ手を引いて窓を開けると動物の詩が書かれています。最初はシマウマで詩は「シマウマ 手製のおりに はいっている」でした。他の5枚も読むとニコッとしてしまいます。ぜひ観に行ってまどさんの世界で遊んでください。またこのコーナーには「まどさんからの手紙」という、詩が書かれたパネルが天井から下がっていますが、写真を撮った詩が「おじいちゃんの はげ頭」「するめ」そして「そうしき」でした。


 次のコーナー「上皇后陛下美智子さまの英訳とご朗読」では、「まど・みちおの詩を世界に送り出すー上皇后陛下美智子さまとまど・みちおー」というパネルに、美智子さまが選定し英訳された詩が、まどさんの東洋人初の国際アンデルセン賞・作家賞受賞として実を結んだと記されていて、美智子さまが英訳されたまどさんの詩「リンゴ」をご自身が日本語と英語で朗読されているビデオが上映されていました。とてもお優しい語りでした。


 企画展示室は、第1章 まど・みちおの生涯、第2章 まど・みちおの絵画(絵も描いていたとは知りませんでした)、第3まど・みちおの詩と童謡です。第1章には国際アンデルセン賞の授賞式でのビデオスピーチ、第2章には「104歳の軌跡」と「まど・みちお 詩と絵の世界」が上映されていましたがどれも興味深く観ました。


 翌日の日曜日には、まどさんの詩集を10冊以上手掛けた編集者の市河紀子氏の記念講演「まどさん、まどしてる」を聴きました。まどさんは5~9歳の間、台湾に移った家族と離れて祖父と2人で暮らしたが「独りぼっちの時間を幸せだと思った性質と運命がまどさんを形作った」という話や、担当した詩集「ぼくがここに」は、当初まどさんは「だじゃれはだれじゃ」にしようと言ったという話から、まどさんのことを少し深く知ったように思いました。


 今回、高志の国文学館で買ったまどさんの本は、分厚い「まど・みちお全詩集」や孫に読んでやるための4冊の童話など8冊ですが、新しい詩に出会うことや孫の反応が楽しみです。