2021.03.25

富山県「中小企業の働き方改革モデル取組事例創出事業」に参加して

 2017年(平成29年)3月28日に、総理が議長となり、労働界と産業界のトップと有識者が集まった会議で「働き方改革実行計画」がまとめられましたが、私はこの年の9月のコラムで“「働き方改革」に思う”と題して、冒頭から、「最近の新聞を読んでいて、目にするたびに嫌な感じがするのが、『働き方改革』と『人づくり革命』です」と噛みつき、最後は「『働き方改革』という政府の号令に右往左往するのではなく、人間として、また企業として、常に改革し成長し続けたいと思います」と結んでいます。


 昨年の8月7日と9月4日、サンフォルテ(富山県民共生センター)で行われた富山県主催の「働き方改革推進リーダー養成講座」に参加しました。参加理由は、「働き方改革」が叫ばれて以降に当社で行ったことは、経営企画室の安全衛生管理グループで、第2工事部の技術職のうち、見なし残業代として役職手当がついている主任について、実際の月々の残業時間を4月から統計を取り始めたことくらいでしたので、この講座のタイトルを見て、「働き方改革」を毛嫌いばかりせず、会社のトップリーダーである私自身が学んでみようと思ったからです。

 
 8月7日の「働き方改革推進リーダー養成講座」の1回目には、18の企業と3つの市町村から35人が参加し、5人ずつ7テーブルに分かれ、(株)ワーク・ライフバランス(WLB)の3名のコンサルタントの進行、指導の下に午後1時半から5時まで、テーマごとに付箋に自分の意見を書いて模造紙に貼り付け、メンバーで話し合いながらその付箋をグループ分けしまとめて、テーブルごとに発表しました。参加者は、ほとんどが30歳代からせいぜい50歳代初めくらいまでで、70歳を過ぎ、かつ社長の参加者は私だけでしたが、若い人たちから刺激をもらいました。

 
 9月4日の2回目の講座が終わって直ぐに、今回の講座を主催した富山県総合政策局少子化対策・県民活躍課の担当の女性から、「富山県 令和2年度 中小企業の働き方改革モデル取組事例創出事業」の実践モデル企業に応募されないかと電話があり、WLBのコンサルティングを無料で受けられるとあって、総務部として応募することにし、当社と昭北ラミネート工業、永田メディカル、バロン、日の出屋製菓産業の5社が選ばれました。9月24日には、第1回のキックオフコンサルティングが当社の会議室で行われ、富山テレビの取材もあり、前日の23日に入社した新元総務部次長が「昨日入社したばかり・・・」と自己紹介し、八尾オフィスの林さんが、「若い人たちが遅くまで仕事をしてなかなか結婚できない」と言っていたのが印象的でした。


 その後、10月と11月のコンサルティング、12月の中間報告会、そして今年1月と2月のコンサルティングを経て、今月3月3日に富山県民会館で最終報告会が行われ、当社は5社の報告のトリを務めました。新元次長のパワーポイントを使っての発表の後、私が次のようにコメントしました。「中村天風師は『ばい菌一匹でも目的無くこの世に出てきたものはない』と言っていますが、「働き方改革」の目的は、残業を減らすとか有給休暇をしっかりとるとかいうことではなく、働く人の幸せを実現することだと思っています。(中略)今回の働き方改革の実践を通して、総務部をはじめとする事務職の社員7名が、自分の仕事を見直すことで、個々人の仕事が楽しく、仕事も含めた人生が変わり、幸せになることを願っています。(中略)この後は、本丸である現場の技術職社員の『働き方改革』に取り組みます。」


 総務部で毎週月曜日の昼休み前に15分間行っている「カエル会議」(早く“帰る”、仕事のやり方を“変える”、人生を“変える”、の3つの意味が込められている)で私は、総務部では5人が毎日お互いのスケジュールを共有して助け合い、ルーチーン業務の見直しをすることなどで、昨年10月以降、残業時間を4分の1に減らすことができた。しかし、事務職社員が一人だけの営業部と第一、第二工事部の3人は、なかなか総務部のように、昼食を別室でとったり、残業せずに毎日退社することはできないだろうが、総務部で生まれた余裕時間を他部署の事務にも向け、彼女たちの仕事の一部を分担できないか考えてほしいと話しています。


 そして本丸の現場の技術職社員には、働き方改革など難しいと頭から決めつけるのではなく、突飛な発想でもよいので仕事のやり方を変えてみて、少しでも時間短縮を図り、そういう改善実績を積み重ねて、大きな改革につなげてほしいと思います。


 現在、総務部では5時のチャイムが鳴ると、10分後には誰もいなくなっています。何事もやってみること、チャレンジすることです。